日本単独野営協会の理念はソロキャンプの健全な普及です。

現状、世の中のソロキャンパーの男女比は圧倒的に男性が多い状況です。
力及ばずで、日本単独野営協会の会員の女性比率も現在10%以下です。

勿論、ソロキャンプをやりたい、ソロキャンプが好きという人が男性に多いというのも理由としてありますが、
女性でソロキャンプをやりたくてもできない事情がある人がいるという所に問題があると考えています。

普段、電車に乗って周囲を見てみていても、仕事で通勤している人の比率は男性の方が多く見えます。
なぜ女性が少ないのか。
それには、日本古来からの流れや、その他複合的な要因があるとは思うのですが、男性でも女性でも働きたい人は本人の努力次第で誰でも働ける環境は必要だと思います。

男性は病気以外であれば、馬鹿なことさえしなければ、理論的には一生血を見ず痛い思いをせずに生きていけます。
一方で女性の多くは、病気以外で生理や出産など、個人差はあるものの、血を見ることや痛みがレギュラーメニューとして用意されています。
少なからず、差別なんかとは違った、そうした生物学的な違いもあるので、そのあたりにも配慮が必要だと思います。

「平等」とよく言いますが、平等の考え方は2通りあると思います。
りんごを2個持っている人と、1個しか持っていない人がいた場合、両者に1個ずつりんごを渡すのも平等と言えますが、1個しか持っていない人に1個渡すことで双方同じ数にするという平等もあると思っています。
前者は、努力で勝ち取ったりんごの数の差など、個人の努力でどうにかできる事に対する平等であり、後者は生まれた国や家の貧富の差や身体的な理由など、個人の努力ではどうにもならない事を平等にする場合の考え方だと思います。
生物学的な男女は生まれた時には既に決まっているので、男女の平等をどうにかする事に関しては、努力でどうにかなるものではない方の平等を適用するべきものだと考えています。

その意味では、女性が参入したいけどハードルが高く、男性比率が高い状態であれば、女性をある程度優遇することでハードルの高さを揃える必要があると思います。

例えば、女性専用車両。

ある意味で、男性に対する差別とも取られかねない取り組みですが、私はそうじゃないと思っています。
女性は前記した通り、個人差はあるものの、毎月病気ではなく通勤がしんどい時があったりします。
貧血の人も男性より多いですし、女性は平均的に男性よりフィジカルが強くない傾向にあるので、満員電車に向かない人も少なくありません。
そこを女性専用車両という形で、ほんの少し優遇することで、男性と通勤に対するハードルの高さを揃えるという平等を作り出している取り組みだと思っています。

話は戻りますが、女性でソロキャンプをやりたい人はいるのに、女性比率が圧倒的に少ない。

何故か。

お風呂がないと困る。トイレがないと困る。変なおっさんに話しかけられるのが恐い。いざとなったら自分で自分の身を守れるか不安。
女性から色々な話を聞くことがありますが、他にももっともっと問題はあると思います。

私は女性の気持ちがわかりません。理由は私は男性であり、女性であった経験が一度もないからです。
当たり前ですし、仕方のないことです。
当事者でないと感じない事が世の中には沢山あります。それは、女性特有の問題は男性が解決するのが難しいことを表しています。
なので、男性は女性特有の問題に理解を示すことと、問題解決しやすい環境を作ることくらいがせいぜいなんだと思っています。

そのため、女性が女性特有の問題を解決するためには、ソロキャンプ業界全体の女性比率を増やす必要があります。
女性が増えれば増えるほど、女性同士で特有の問題を抽出し、解決に向けての動きができるようになりますし、それに対応したキャンプ場なども増えてくると思います。

本当は男女という区別はしたくないのですが、ソロキャンプをやりたい女性にハードルがあり、なかなかできないという状態をどうにかしなければ、日本単独野営協会の「ソロキャンプの健全な普及」という理念は成立しないという思いがあります。

日本単独野営協会が、「女性のための初めてのソロキャンプ講座」の講師の依頼を受けたのは、差別的な意図があるわけではなく、そんな考え方があるからです。