【直火とは】
地面に直接、薪などをくべて行う焚き火を「直火」と呼んでいます。

【直火が推奨されない理由】
焚き火跡の炭や灰を持ち帰らず、その場に放置して帰る「焚き逃げ」は、廃棄物処理法などに違反する「犯罪」です。そのため、日本単独野営協会では、片付けが困難な直火を推奨していません。
直火の多くは石で「かまど」を組んで行いますが、河川敷では多くの人が勝手に石を移動させ、長期的には河川敷の地形を変えてしまうことがあります。これが進むと、河川法に抵触する恐れも出てきます。
また、かまどに使う石は、直接火が当たり続けると割れることがあります。割れた石は元には戻せず、河川敷の石を持ち帰ることは禁じられているため、そのまま放置されることになります。割れた石の断面は非常に鋭利なため、人が怪我をしたり、車やバイクのパンクを引き起こしたりといった事故の原因にもなりかねません。
さらに、組んだかまどを元の状態に戻さず放置すると、暗闇で人がつまずいたり、車が乗り上げてしまうなどの事故も多発しています。こうした「焚き逃げ」による被害や、元に戻すことの困難さによる景観破壊などの面からも、直火は避けるべきと考えられています。
直火には一定の知識や経験が必要です。地面で直接火を焚くため、スキルの不十分な人が不用意に行えば、最悪の場合は火が広がり、火事になるリスクもあります。

【直火自体が犯罪でなければやっていいのか】
「直火」は地権者からの許可がある「特別な場所」でしか行ってはいけません。許可のない場所で直火を行うことは不法行為です。
「みんながやっているから」という理由で許可を得ずに直火をするのも、不法行為にあたります。みんながやっているからと集団で行っても罪が薄まることはありません。
また、「直火OK=片付け不要」ではありません。許可のない場所で片付けを怠れば、同様に不法行為となります。
「直火禁止と書いていないから」といって勝手に直火を行う人もいますが、「万引き禁止」と書いていない店で万引きが許されるわけがないことを考えれば、その理屈がいかにおかしいか分かるはずです。
よって、許可のない場所や曖昧な場所で直火を行えば、人に迷惑をかけたり、犯罪となる可能性があります。現代では「直火OKが基本」ではなく、「直火NGが基本」だと覚えましょう。

【焚き火をしたい場合はどうしたらいいか】
許可を取ったり、片付けたりするのが難しい人は、焚き火台を使えば片付けが比較的容易になります。
もともと焚き火が許されている、キャンプ場を利用すれば、許可を得る手間も省けます。
どうしても直火をやりたい方は、正しく焚き火ができる熟練者から安全面や後片付けの方法をしっかりと学び、曖昧な場所ではなく、明確に直火OKとされているキャンプ場、もしくは自分自身で確実に地権者から許可を得た場所で行いましょう。

【今の時代に推奨される焚き火の方法】
・周囲の燃えやすい物をあらかじめ取り除く
・消火用の水、または消火器を用意する
・焚き火台を使う
・防炎シートを焚き火台の下に敷く
・防炎シートは遮熱にならないため、必要に応じて遮熱板や遮熱シートを追加する
・キャンプファイヤーではないので、薪は必要以上にくべすぎない
・安全のため手袋と炭バサミを使う
・風の強い日は焚き火を行わない
・石組みはなるべく避け、した場合は火が直接当たらないよう配慮し、必ず石を元の位置に戻す
・焚き火終了後は、火消し壺や袋に炭と灰を入れて持ち帰る
・火消し壺がない場合は完全に消火して、冷めた炭や灰をポリ袋に入れて持ち帰る
・持ち帰ったものは地域のゴミ出しルールに従って処分するか、自身で再利用する

【まとめ】
このような理由から、日本単独野営協会は「直火」を一律に悪とするのではなく、「正しい方法でできないこと」こそが悪であると伝えています。
これを読んだ皆さんは、家族や友人が直火をしたいと言った時や、焚き火に関する質問を受けた際に、ぜひ正しい知識を教えてあげてください。

<焚き逃げは不法投棄>
https://youtu.be/IhjowzHgzmc?si=mCTETVx2SXxnjMF5

<焚き火の基本ルール>
https://tandokuyaei.com/2037/