日本単独野営協会を立ち上げた理由はいくつかありますが、その中の一つに、私自身が長年感じてきた「生きづらさ」が大きく影響しています。

心の中にある見えないハードルは、他人にはなかなか理解されないものです。

私は「誰よりも生きづらさを抱えて生きてきた」と自負しています。

それを話すと、「もっと辛い人はたくさんいる」と言われることもありますが、そうではありません。

誰であっても「生きづらさ」は他人との比較ではなく、自分の中で最も過酷に感じ、それが全てになるものだからです。

時折、自ら命を絶ってしまう人を見て、「死ぬくらいなら他のこともできたはずだ」と言う人がいます。

しかし、それは大きな誤りです。

苦しいとき、自分の世界ではその苦しみが全てであり、誰かと比べて「自分はまだマシだ」と思えるような事はありません。

自分の世界の中で、その瞬間が最も辛く、そこから抜け出す方法が見えなくなってしまうものなのです。

だからこそ、生きづらさを感じている人に対して「あなたはまだマシなんだから頑張れ」といった言葉は決して言ってはいけません。

その人にとっては、今が人生で最もつらい時期であり、世界中の過酷さを全て一人で抱えているような状況なのです。

言いたくないこともありますし、説明がつかないこともあります。その気持ちに寄り添い、理解しようとする姿勢が大切です。

私が幸運だったのは、ソロキャンプとの出会いです。

人生が辛く、煮詰まっていたとき、ソロキャンプは私を救ってくれました。

川のほとりで一人静かに過ごすことで、心の中の苦しみが和らぎ、抱えていた問題が実はそこまで大きなものではないのかもしれないと感じることができました。

自然の中で、自分だけの時間を持つことは、私にとって大きな癒しとなりました。

この経験から、私は、一連の日本単独野営協会の活動に加え、生きづらさを感じている人にもソロキャンプの良さを伝えていきたいと思っています。

ソロキャンプは、ただアウトドアを楽しむだけでなく、自分自身と向き合う時間を与えてくれる貴重な体験です。

日常の喧騒から離れ、一人で自然の中に身を置くことで、心の負担が軽くなり、自分を取り戻せることもあるのです。

日本単独野営協会の活動を通じて、ソロキャンプの魅力を広め、同じように生きづらさを感じている人々に少しでも寄り添えたらと願っています。

ソロキャンプという素晴らしい文化を広めることで、一人でも多くの人が自分自身を見つめ直し、生きづらさから少しでも解放されるきっかけになれば嬉しいです。